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弥生が丘【佐賀】 皮膚科クリニック

敷地は1990年代に開発が進められた新興住宅地で、隣接するアウトレットモールには年間500万人以上の来場者があり、週末には多くの県外ナンバーの車両が往来する。敷地に立った時、整然とした人工的な街並みに、シンボルでもランドマークでもなく、風景を彩るアイコンとなるようなものをデザインしたいと考えた。計画地は、クライアントの親族が営むテナントビルの駐車場で、できるだけ駐車台数を減らさないこと、また、診療所は皮膚科で、自然光に近い診察室にすること、そして、複数の診察室をドクターが移動することで医療効率を上げることが望まれた。駐車台数の要件から、ピロティにすることは早々に決定し、計画を進める中で、駐車場と診察室の部屋割りがリンクし、2階の患者動線を1階の車両動線と同じように扱い、診察室を回廊型の待合室で囲うプランに辿り着いた。外部に面しない中部屋となった診察室は、屋根をヴォールトにすることで、ハイサイドライトから自然光を取り入れ、人工照明のみに頼らない環境をつくった。明るい診察室は、不安を抱いて訪れた患者の気持ちを軽くしていると、クライアントから聞いている。このアイコンを特徴づける連続したヴォールトの輪郭が、周辺の山並みや街並みに馴染み、この地域の景色として人の心に残っていくことを願っている。
物件名 ごんどう皮膚科
所在地 佐賀県鳥栖市弥生が丘町
構造規模 鉄筋コンクリート造2階建て
用途 診療所(皮膚科)
延床面積 733.76m2
竣工 2014年7月