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クリニック開業は官公庁へ専門的な申請が多数!流れについて解説

申請

クリニックを開業するにあたってさまざまな規制があります。生命に直結する病気やケガを治療する病院だけに当然といえます。それだけに規則に沿った建物になっているのか、装備はそろっているのかなど、確認するために申請書類の提出が求められるでしょう。本記事で、具体的にどのような流れでクリニックが開設できるのか紹介します。

病院は特殊建築物

建築基準法には第2条2項で定められている、特殊建築物があります。特殊な設備・構造を持った建物のことです。病院は特殊建築物に当たります。人々の生命に関係する病院は、立地条件・防火設備・構造・衛生などが厳しく制限されています。

病院は不特定多数の人々が利用する施設のため、構造や設備が特殊な建築物で、普通の建物よりも火災が発生する可能性は高くなるでしょう。一旦事故が起きると、人命に関わる大きな災害につながるリスクは大きいのです。また、感染症などは病院の周囲にも影響を及ぼす危険性が高くなります。このように、病院は多くのリスクを抱えているのです。

そのような背景から、病院は特殊建築物として厳しい規制があり、立地条件・建物の構造・防火設備から、工事中の作業まで厳しい規則が決められています。

病院とクリニックの違いは?

病院と一括りにしていますが、厳密にいえば「病院」と「クリニック」は違います。病院は、医療法では「20人以上の患者を入院させるための施設を有するもの」と定義されています。病床(ベッド)の数が20以上の入院施設を備えた医療機関が病院です。

一方、クリニックは19床以下の施設ですが、クリニックは診療所、医院と名乗ることもあります。さらに、病院とクリニックでは医師の数や看護師の数などにも決まりがあります。

クリニックは有床か無床でも区分

クリニックは入院ベッドがある「有床」と、入院ベッドがない「無床」によっても分けられます。クリニックで19床以下でも、有床の場合は特殊建築物と規定され、特殊建築物の規制を受けます。

一方、無床のクリニックの場合は特殊建築物とはならず、建築基準法の規制を受けることはありません。しかし、100㎡以下の場合は除かれますが、1床でもベッドを持つと特殊建築物として扱われます。

クリニック開業時に必要となるポイント

クリニック開業で、最も大切なポイントは資金計画です。クリニックを開設する場所や、クリニックの規模、設置する設備などで必要になる金額は変わってきます。また自己資金で開院するか、あるいは金融機関から借り入れする場合は、借りられる金融機関があるかなど、資金の目途が立たなければクリニックは開設できません。

開業準備は時間がかかる

開業資金だけでなく、国や市町村への届出も時間のかかる場合があります。用地の確保や入居する建物の手当に、クリニックとして開業できる改装工事まで含めると、数カ月では足りないようです。時間をかけた入念な準備が重要になるのです。

開業の大まかな流れ

特殊建築物の範疇でクリニックを開業して診療に使用する建物については、建築基準法やバリアフリー法や消防法、地方公共団体の条例など守るべき法律が多く、すべてを守らなければ開業できません。以下で、クリニック開業までの大まかな流れを紹介します。

建築確認申請

クリニック新築の際には、工事に着手する前に建築確認申請が必要になります。クリニックの構造を確認し、避難経路や付属設備などが基準を満たしているか確認するのです。問題がなければ確認済証が発行され工事開始です。なお、テナントとして入居して開業する場合は、建築確認申請の必要はありません。

診療所開設届

クリニックを開業するときには、保健所に「診療所開設届」を保健所へ提出しなければなりません。医療法第8条で、クリニックの開設日から10日以内の提出義務があります。この開設届で、診療所として診療を行うことが可能になります。開設届は提出してから内装や間取りなど詳細な指導が入ることもあり、すぐに受理されるケースは少なく、クリニックの内装工事が完了した時点で開設届を提出するクリニックが大多数です。

保険医療機関指定申請書

クリニックの開設届が受理されたら、健康保険での診療が可能になるよう所轄の厚生局に「保険医療機関指定申請」を届出します。この申請が受け付けられなければ保険診療はできません。保険医療機関指定申請は各地域の厚生局ごとに異なり、また事前相談を受けることになります。詳細は所管する厚生局に確認されることをおすすめします。申請書の締め切り日は地域で異なりますが、原則毎月1日となるでしょう。

他にも提出する書類は多数

クリニックを開設するためには、他にも多数の書類が必要です。

  • 社会保険事務所:保険医登録申請書・保険医療機関指定申請書
  • 福祉事務所:生活保護法指定医療機関指定申請書
  • 労働基準監督署:労災保険指定医療機関指定申請書・労働保険の保険関係成立届
  • 地区医師会:入会申込・母体保護法指定医師指定申請書

さらに、都道府県税事務局、税務署、公共職業安定所にも提出する書類があります。このように事前準備が重要で、クリニック開設経験が豊富な建築事務所などに相談するのもおすすめです。

まとめ

クリニックを開業するためには確実な資金計画を立て、診療所の建築物を建てる場合は、指定される条件を満たしていることが必須条件です。その点をクリアしたうえで、官公庁への各種届出を漏れなく行います。クリニック開業の実績が豊富な業者に相談するのもおすすめです。

「山口修建築設計事務所」は、一級建築士がお客様の目指す理想になるまで、機能性とデザイン性の両面から深く検討を行い、納得いただける建物となるまで追求します。唯一無二の物件を目指し、個性がありながらも地域に根付く建物を完成させます。どのようなことも、気軽にご相談ください。